福岡県のダム歩き

2)福智山ダム

 

前記の内が磯ダムの上流に平成十五年完成した福智山ダムは私の少年時からのダムへのあこがれを思い出させた。

工事が始まったようだと思う間にあっけなく出来上がっていた。最近の工法は専用のセメント工場をサイトに作り、砕石も砂も現場の直近で間に合わせるので、工期も早い。見れば見るほどに本格的なコンクリート製の重力式巨大ダム(提高64.5m、堤頂の長さ255m、総貯水量271万〜立方m)であった。自宅から歩いて一時間たらずのところ、日ごろからよく歩き回った場所に忽然と出現した巨大な堰堤。おおげさでなく夢のような出来事だった。

 

 

 

 

 

地方都市の強みとはいえ、ごく普通の住宅用団地にある自宅からの散歩範囲にこうして二つものダムが作れる環境は、住環境として恵まれているといえるだろう。

この2つのダムは本来が筑豊と北九州市を含むエリアではトレッキングなどで最も人気のある福智山(標高900m)への登山道(のひとつ)に沿った渓谷を堰き止めて作られた。立ち退きの家屋は皆無であったし、登山道は整備されて残ったけれど、途中の内が磯渓谷は縮小され、以前のように気軽に家族や仲間でバーベキューパーティを楽しめる環境ではなくなったし、いくつかの古高取焼きの貴重な窯跡もダム湖に沈んでしまった。

まあ、それは愚痴と言うものかもしれない。ダムが出来たために失ったものもある代わり、私たちはその施設としての本来の利得を別にしても、確実に以前にはなかったすばらしい自然景観とそれを楽しむ周回道路を得た。公務員もまた新しい暇な職場を得たわけだ。ダム管理棟

 

下流の内ガ磯ダムから(福智山ダムを)望む                   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堰堤天端

 

 

 

周回道路は車も一方通行で利用できる。私は自宅から歩くこともあるが、大抵は前述の内が磯ダムの鳥野神社前にある駐車場まで車で来て、左斜面の登山道と堰堤上の通路(行きと戻りで2度通る)を含む周回道路を(逆周りで)一周して鳥野神社寄りに下って戻るコースを選ぶことが多い。

ほぼ6000歩である。

 

 

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